コラム
RDD方式とは? 無作為抽出による公平なデータ収集
RDD方式(ランダム・デジット・ダイヤリング)は、電話調査で用いられる無作為標本抽出の方法で、無作為に生成した電話番号に電話をかける手法です。電話を所有している人たちに幅広くアプローチできる方法なので、偏りの少ない意見収集が可能です。内閣支持率や選挙予測の調査、経済や社会問題に関する世論調査などにおいても広く利用されています。
1.RDDの仕組み
RDD方式の仕組みはシンプルです。まず、コンピューターで無作為に電話番号を生成します。固定電話の場合は市外局番と市内局番に基づいて番号を生成するので、対象地域を特定した調査に適しており、つながった世帯の居住者の中から更に無作為に調査対象者を選んで調査を行います。これは、「いつも電話に出る人」だけが回答者になることを防ぐための工夫です。選ばれた人が不在の場合は、日時を変えて再度連絡を試みます。
携帯電話の場合は総務省が公表しているそれぞれの番号帯に対してランダムに番号を作成します。携帯電話は個人につながるので、基本的には電話に出た人を対象に調査を行うことができます。
2.RDD方式の利点と課題
RDD方式ならば、このようにして無作為に作成された番号に電話をかけて、無作為に対象者を選んで調査を行うことができます。固定電話を持たない世帯が増える中、携帯電話の普及率は非常に高く、若年層や高齢層を含むほとんどの成人が携帯電話を所有しているので、人口のほとんどをカバーする調査が可能となります。
また、RDD方式は電話調査なので、回収データの代表性が確保できる他の調査方法と比較すると迅速性に優れている点も利点です。電話がつながればその場で回答を得られるため、調査結果を短期間でまとめることができます。例えば、緊急の世論調査や市場調査では、この迅速性が大きな武器となります。さらに、この方式では対象者の匿名性を確保することもできるため、回答者は本音で意見を述べやすい環境が整っています。
ただし、RDD方式にはいくつかの課題も存在します。近年は固定電話の契約者数が減少し、携帯電話のみを使用する世帯が増加しています。このため、RDD方式で固定電話だけを対象にしている場合、若年層を中心とした携帯電話限定の人々の意見を収集しにくくなります。また、携帯電話を含めたRDD方式の調査でも、携帯電話番号には地域情報が含まれていないため、地域別の調査には適していません。
さらに、「知らない番号には出ない」といった防衛行動も、調査協力率の低下を引き起こしています。特にスマートフォンの普及によって、登録されていない番号からの着信に応答する人が減少しており、これがRDD方式の調査を実施する際の大きなハードルとなっています。
3.RDD方式の重要性
現代の調査環境の変化に対応しながらも、RDD方式は進化を続けてきました。いくつかの課題はあるものの、RDD方式の電話調査は、迅速に公平で代表性のあるデータを収集することができる調査手法としては、他にはない調査手法だと言えます。これからも社会の変化に対応し、より信頼性の高いデータ収集を可能にする手法として、RDD方式の重要性は変わらないでしょう。
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