コラム
電話でしかできない顧客満足度調査の内容
日ごろの売上実績データから一歩踏み込んだ定性的な要因を探ることは経営の意思決定においてはとても重要なことです。
ある中小企業メーカーでは販売店サイドからみた顧客満足度調査を電話で実施し、今後の解決策を見出すことができました。
電話を利用した顧客満足度調査には、同時性や迅速性といった、特長を活かして行うことができ、メリットがいくつかあると言えます。また、電話で行う顧客満足度調査は顕在的な定量データにとどまらず、潜在的な定性要因について一歩踏む込み、探索的な調査を行うことも可能です。
1.売上実績の要因や背景を探る重要性
例えばメーカーを例にすると、製品ブランド間における競争はどの程度、売れるかという売上面の戦いで、販売実績データをみれば、どの製品ブランドがどれだけ売れたかが一目瞭然でわかります。従って販売実績データはあくまでも実際に売れた結果の数字です。どうして売れたのか、あるいはなぜ売れ行きが良くなかったのか、という実績データの根底に潜む要因や背景はわかりません。
大手の小売チェーンでもPOSレジが普及して、売上や発注などの店舗管理面での運用から、品目別や分野別などの集計分析まで行われているケースもみられます。しかし一方で、こうした売上実績データから、さらに一歩踏み込んで定性的な要因を探ることは経営の意思決定においてはとても重要な取り組みと言えます。
2.電話を活用した顧客満足度調査の事例
(1)中小企業酒類メーカーの例
中小企業の酒類メーカーでは、ここ数年、新商品の開発に力を注いで、地域の中堅企業としての一定の基盤を確保するに至りましたが、ここ1~2年は大きく売上が伸び悩み経営の低迷状態に入っている状況にありました。特に、昨年発売した新しい製品ブランドの売上不振の影響が大きいようでした。
今後の経営を刷新する方向性を見定めるため、同社製品を取り扱う小売店に対して販売サイドからみた顧客満足度調査を電話で実施することを決めました。さらにこの調査結果を元にして、今後の解決策を見出すことを計画しました。
ここ数年、酒類を購入する顧客の購買行動は大きく変化してきています。ある統計によると、販売サイドにある酒類の小売店の店舗数は市場全体で、ここ数年激減しています。さらに規制緩和も進み、大手小売業間でのシェアの取り扱いは拡大する一方です。つまり従来、多く存在した町の酒屋が大きく減っていることに他なりません。
このような前提にたって、同社では調査の対象を小売業の中でも、スーパー、ディスカウントストア、コンビニエンスストア、酒類専門店、従来型の酒販店など幅広い業態に区分して設定することにしました。
(2)電話を活用して行う顧客満足度調査のヒアリングポイント
具体的な調査内容は取り扱い酒類メーカーおよび注力しているメーカー、注力している理由、メーカー別の訪問頻度、訪問する際の内容、メーカー別の評価ポイント、望ましいメーカーのバックアップ策などです。
調査の結果、相対的に同社の営業マンの訪問は頻度が少なく、売り方に対する支援が不足している一方、販売高が秀でているメーカーは総じて確実な定期訪問と売り方や販売促進などについて踏み込んだ提案を繰り返し行い、そうした活動が販売サイドから評価されて、力を入れて顧客に売り込んでいる理由となっていることが分かりました。
(3)調査結果を活かした営業活動の刷新
これらの結果を受けて、この中小企業の酒類メーカーでは、訪問先の見直しや訪問活動のあり方を再構築することに踏み切りました。
まず営業マンの活動内容の実態について詳細をつかみます。さらに、訪問頻度や活動内容、課題や目標など詳しく把握して、現状の営業活動の概要を把握していきます。それらの内容を元に、営業体制の再構築の方向性を打ち出していきました。
3.電話を活用して顧客満足度調査を行うメリット
このように電話調査を活用して顧客満足度調査を行うことには、対象者の生の声を引き出せるという大きな強みがあります。
企業や事業所を単位とする調査で、対象者の生の声を引き出して意見を聴取することができます。今回のように販売活動を行う小売業に経営動向をヒアリングすることが可能なのです。
電話調査を利用した顧客満足度調査には、同時性や迅速性といった、特長を活かして行うことができ、これまで述べたようなメリットが複数あると言えます。顧客満足度調査の場面でも形式的な定量データに止まらず、経営者や経営管理者が日ごろ感じている感覚などの目に見えない定性的な要因を探索的に調査することができるのです。
アダムスコミュニケーションでは、お客様のご要望に応じた各種調査メニューをご用意しています。詳細は調査メニューでご確認ください。