コラム

電話調査における調査票設計のポイント

RDD方式とは?

 

電話調査は、専門の電話調査員が質問を1つずつ読み上げて、対象者の回答を確認しながら調査を進める方法なので、調査の対象層から生の声を引き出し、信頼性の高いデータを得られる調査手法です。そして、その効果を最大化するためには、調査票の設計がカギを握ります。

 

本コラムでは、質問数の最適化や質問文の工夫など、電話調査特有のポイントを押さえて精度を高めるための調査票の設計について解説します。

 

1.電話調査における効果的な調査票設計

電話調査では、できる限り回答者が長時間拘束されることがないように心がける必要があります。拘束時間が長くなると回答者が疲労やストレスを感じ、回答精度や回答率が低下するリスクがあるからです。したがって、調査目的を明確化し、その目的達成に必要なデータを得るための最低限かつ的確な項目に絞り込むことが重要です。事前に調査目的を明確にして無駄な質問を排除し、調査全体の効率が高めることが重要です。

 

また、電話調査では、図表提示や画面共有が困難なため、説明は調査員の声のみが頼りです。そのため、あいまいな表現や専門用語を用いるのはやめましょう。質問文が長くなったり、選択肢が多くなったりするのも避けるべきです。回答者にとって、調査員が読み上げる長い質問文を即座に理解したり、たくさんある選択肢を全て読み上げた後にその中から当てはまるものを選んだりすることは簡単ではありません。質問文は口頭で伝えやすく、回答者が容易に理解できる平易な言葉と簡潔な質問構造を心掛けましょう。

 

質問順序については、例えば過去から現在、そして未来へという時間軸、あるいは大分類から小分類へ徐々に絞り込むというレベル感を意識した構成が望まれます。できる限り関連性の高いものはまとめ、自然な質問の流れで回答者が戸惑うことなく、回答しやすい調査票設計を心がけましょう。

 

また、調査全般に言えることですが、誘導的な言い回しは厳禁です。

 

2.スムーズな電話調査を支えるための配慮

短時間でスムーズなやり取りを行うためには、「はい・いいえ」の二択や5段階評価などの回答形式が有効です。複雑な選択肢や長い自由回答は回答者の負担を増やし、結果として回答精度を落とす可能性があります。

 

例えば、「昨年の商品利用の状況について率直なご意見をお聞かせください。」ではなく、「昨年、当社の商品を利用しましたか?(はい・いいえ)」で始め、その後「利用した理由を5段階で評価してください。」といった段階的アプローチが効果的です。

 

一方で、自由回答形式を一部取り入れることで、定量データだけでなく定性的な意見も得られます。その場合、自由回答は1~2問程度に留めるなどのバランスが重要です。こうした回答形式の工夫は、限られた時間で深い洞察を得るカギとなります。

 

また、回答者に安定した印象を与え、信頼性が高いデータを得るためには、調査員間で質問文や説明などを統一するための標準化されたスクリプトの整備も欠かせません。電話調査は、Computer-Assisted Telephone Interview(CATI)と呼ばれる電話調査用のプラットフォームを利用すれば、それぞれの調査員はプログラムされてPC画面に表示される設問やスクリプトに従ってインタビューを行うことができます。年齢や性別などの対象者の条件で質問項目や質問の表現を変える必要がある場合でも、CATIを利用することによって適切な質問をPC画面に表示させることができるので、精度の高い電話調査では不可欠な要素となっています。

 

3.電話調査のメリットを引き出す設計と実施

電話調査は、回収データの代表性や信頼性の高さが大きなメリットです。信頼性の高いデータを獲得するためには、調査票設計において、明確な調査目的の設定、質問数の最適化、わかりやすい回答形式、適切な質問文の長さや表現、電話調査プラットフォームの活用などが重要な要素となります。これらの要素に配慮することで、回答者の負担を軽減しながら、十分な経験を持つ電話調査員がインタビューすることによって、信頼性の高いデータ収集が可能になります。

 

それらのデータを分析し、顧客満足度の向上や新商品開発など、具体的な施策に活用することで、ビジネスの成功に繋げることができるでしょう。当社は長年にわたり、電話調査を通じて、様々なクライアントの課題解決を支援してまいりました。その経験とノウハウを活かし、今後も効果的な調査設計とデータ分析を通じて、お客様のビジネスの発展に貢献してまいります。

 

アダムスコミュニケーションでは、お客様のご要望に応じた各種調査メニューをご用意しています。詳細は調査メニューでご確認ください。