コラム
株式市場で必要性が高まる個人株主への電話調査
証券取引所上場会社の株主数合計は、全体の9割以上を個人株主が占めると言われています。株式を保有する個人株主数はここ数年、連続で安定して増加する傾向にあります。個人株主に対する調査は、重要なステークホルダーである個人株主が企業に対して持つ意識を測定して明確にすることで、好意的な態度・行動を誘発するための活動につなげることを目的としています。電話調査は個人株主を対象とした調査に適している方法と考えられます。株主への御礼を伝えながらリレーション形成の一貫として、アンケートの依頼を行うことで、個人株主とのコミュニケーションの機会となり関係深化を図ることにもつながるからです。
(1)個人株主に対して調査を行うメリット
(2)個人株主が株式投資を行う評価の視点
(1)個人株主に対する郵送調査と個人株主に対するインターネット調査
(2)個人株主に対する電話調査
1.株式市場で影響力が増す個人株主
証券取引所上場会社の株主数合計は、全体の9割以上を個人株主が占めると言われています。株式を保有する個人株主数はここ数年、連続で安定して増加する傾向にあります。
具体的には、株主総会においても個人株主の影響力が大きくなりつつあると言われており、その動向が注目されるようになっています。企業と機関投資家の間で意見が分かれるなど議決権による意思決定に関わる場面では、個人株主の賛否によって議案が決定する、という事案もしばしばみられます。
2.個人株主に対して行う調査とは
(1)個人株主に対して調査を行うメリット
企業が個人株主から評価を得るメリットとしては下記のようなものが挙げられます。
① 株式の長期保有につながる
② 良い口コミにつながる
③ 株主総会の賛同を得やすい
④ 何かあった際に会社側の支持獲得につながりやすい
個人株主に対する調査は、重要なステークホルダーである個人株主が企業に対して持つ意識を測定して明確にすることで、好意的な態度・行動を誘発するための活動につなげることを目的としています。
(2)個人株主が株式投資を行う評価の視点
それでは個人株主はどういった視点で企業を評価しているのでしょう。個人株主が株式投資を行う評価のポイントとしては、① 事業内容や財務内容といった経営状況に関する視点、② 経営戦略や将来性、経営方針といった中長期的な視点、③ 新製品・新サービスや株主優待情報といったユーザーとしての視点、④ 企業分野や企業イメージに関する視点というように大きく4つのテーマに分類することが可能です。好意的な態度・行動を誘発するための活動につなげるため、評価の視点や調査目的を明確にして調査に取り組むことが重要と言えます。
3.個人株主に対する調査方法による特徴
具体的な方法としては郵送調査やインターネット調査、電話調査などの方法が挙げられます。とりわけ電話調査は他の調査方法と比較して個人株主とのリレーション強化につながる点が有利な方法と考えられます。
(1)個人株主に対して行う郵送調査やインターネット調査
株主名簿記載者に、郵送で調査票を送付する方法が郵送調査です。事業報告書に同封という手法も可能です。個人株主のほぼ全員にアンケート依頼することが可能です。一方、協力率が低くなる傾向があります。また調査票の誤記入や記入漏れなどが発生しやすいといえます。
郵送にて調査URLを送付し、返送してもらい、メールアドレスを取得した上で、招待メール送付によりアンケートに回答していただく方法がインターネット調査です。ある程度ボリュームのあるアンケートにも回答してもらえます。
しかし、インターネットに不慣れな高齢者などの株主の意見を回収することが困難で、招待メールを送付したとしても、メールアドレスを必ず取得できるとは限りません。
(2)個人株主に対する電話調査
株主名簿記載者に、電話で調査を依頼する方法が電話調査です。個人株主の電話番号判明率が高い場合には、ターゲットした株主の大部分にアンケート調査を依頼することが可能です。集中管理方式で実施が出来るため、回答の精度を上げることが可能です。
電話調査は個人株主を対象とした調査に適している方法と考えられます。株主への御礼を伝えながらリレーション形成の一貫として、アンケートの依頼を行うことで、個人株主とのコミュニケーションの機会となり関係深化を図ることにもつながるからです。